引きこもりの記録

私は2年間引きこもってしまった。その事実をここに記す。

中古のマンションを購入した。人生で初の持ち家をである。両親はずっと借家ぐらしで自分もそこに一緒に暮らしていた。中古とはいえ、人生で最高額の買い物だ。家財道具はほとんどゼロから買いそろえた。その総額は正確には覚えていないが100万近くだったと思う。なんせ、クレジットカード1枚じゃ足りなくてもう一枚作ったぐらいだからね。生活できる最低限のものが揃ったところで、マンスリーマンションを引き払い、引っ越してきた。中古でマンション自体は古いがリフォーム物件で内装はきれいだった。このきれいな状態を維持したいと思い、掃除はルーティーンを決めて毎日、毎週欠かさず行う事を決めた。当時コロナの影響が濃く注文から発送までに何日もかかるものが多かった。家財道具が全部揃うまで1ヵ月半掛かった。ようやく全部揃って一息ついて、
K「久々にゲームやるか。」
やってみたいゲームがあった。タイトルはDEAD BY DAYLIGHT(DBD)。Youtube配信を見ていて面白そうと思った。しかし、見るのとやるのとは大違いで思ったように動かせない。夜は絶対寝ると決めていたのに、あっさりその決まりを破って徹夜した。3日程経って、
K「このゲームつまらないな。」
と言った。しかし、
K「でもな・・・。」
と言ってゲームを続けてた。(正確にゲーム始めて何日目だったかは覚えていないが、雷に打たれたような感覚を受けたのを覚えている。昔パチスロを打っていた頃、北斗の拳の台があってその液晶画面でステージが切り替わる際の演出に似た感覚。)

・・・ゲームしかしない日々が続いた。朝も夜もなく、ゲームしかしない。力尽きるまでやって、気付いたら椅子、または床で目を覚ます。他にやるのは、コーヒーを飲む、飯を食べる、用を足す。
家の中は荒れていった。中身が分別されていないゴミ袋が増えて重なっていった。床は埃、髪、垢が混ざったものが黒くこびりついていた。トイレも同様、便器や床に黒い汚れが広がっていた。キッチン、テーブル、床はラーメンやお菓子のプラスティックゴミが山積みになっていた。玄関には宅配のダンボールが積まれていった。

生ごみはできるだけ作らないようにした。ゴミ捨てする気がなかったし、分別もしてないからね。なので野菜はあまり買わない、買っても全て食べきる(例えばキャベツは芯まで食べる)ようにした。引きこもる前に買っていた食材があったので、食べて処分した。玉ねぎを処分するのに、皮むきした。その皮をキッチンのシンクに置いている金属製の桶の中にそのまま沈めた。何日かして、そこから腐臭が発生するようになった。しかし、それを何とかしようとはせず、そのまま放置し続けた。これが原因かは分からないが、コバエが発生するようになった。冷蔵庫内の扉に近い部分はコバエの死がいがびっしりだった。キッチンもガス台は油や食材の焦げがこびり付き、腐臭を発している桶が置かれているシンクは、茶色のぬめりで覆われていた。

体は全く洗っていない。シャワーも浴びていない。歯も磨いていない。着ているものは、たしか、1度だけ着替えたと思うがいつだったか覚えていない。髪、髭は邪魔になったらハサミで切った。靴下の中が一番すごかったかもしれない。爪も切らずそのまま。自分でもどうなっているのか分からなかった。見るのが怖い。(実際は折れた爪と垢にまみれていた。)そんな体なので、買い出しに行くときも昼間は無理。夜で且つ、雨が降っている時(傘で隠せるからね)、できれば土日を狙って買い出しに行った。しばらく何も食べていない状態で買い出しに行った時の帰り動けなくなってしまった。2、3週間分の食材を背負った状態で、筋力も体力もなくなっていては当然の結果である。休み休み時間をかけてなんとか家までたどり着いた。

それからしばらくして、スーパーのライフがAmazonで配達やっているのを知った。それからは、ライフで食材を買うようになった。結果、全く外に出なくなった。完璧な引きこもりである。置き配でお願いしたかったが、食材だから対面での配達しか選べなかった。でも、インターフォンに出て、
K「そこに置いといて」
といったら、置いてくれた。家にいることが確認できればOKのようだった。その頃には人と会う事が憚られる状態だった。見た目も臭いもきついだろうと思っていた。
食べていたものはラーメン、うどん、焼きそば、米。米は1年以上前にネットで買ったものが消費しきれず残っていた(2024/3/8現在、その最後の1袋5kgを消費中)。食べる時は1日5食くらい食べてしまう事もあるが、逆に全く食べず、2週間コーヒーだけで過ごした事もあった。

1年目はあまり気にならなかったが、2年目あたりから外の音が気になるようになった。単にゲームで使っていたイヤホンの右から音が聞こえなくなった分、外の音が入ってきやすくなっただけかもしれない。外から話し声が聞こえてくる度、いらいらして、
K「うるせーな!ぶっ殺すぞ!」
といった悪態をついていた。おそらく、誰にも聞こえていなかっただろが・・・。
家はマンションの1階で庭がある。確認は一切していなかったが、おそらく、草ボーボーになっていたと思われる。ポストに「草刈りしてください」とのお願いの手紙が入っていたことがある。現在、庭は切れにされている。おそらく、近所の方か管理人の方が刈り取ってくれたのだと思う。(それを行っているような物音を聞いた時もあったので。)

電話、インターフォン(その後、電池切れで使えない状態のまま放置)には宅配以外は一切出なかった。ある日、緊急車両の音が近くで止まった後、家の窓を外そうとしている音が聞こえてきた。警察がきたのだ。理由は、私が管理人からの電話に出ずにマンション管理会社が私が死んでいる可能性があると判断し、警察に出動を依頼したとの事。私はドアを開けて引きこもっている事を告げた。
管理会社「排水管の清掃があり、その為には業者が家に入って作業する必要がある。なので、その日取りの打ち合わせをしたかった。」
その後、警察に家の中で事情を話した。
警察「区役所に相談したらどうか。」
と言われたが、この格好では無理だと思った。
管理会社の人に、「今度は電話に出てください。」と言われたので、電話を確認した。そこで、電気、ガスがもうすぐ止まるというメールを見つけた。支払いに使っていたクレジットカードが使えなくなっていた。理由はクレジットカードを更新しなかったから。つまりは、送られてきた新しいクレジットカードを持ってきた人を無視したからである。もう一つ作っていたクレジットカードは、まだ使えたので切り替えた。
しかし、ガスは止まってしまった。しかし、電気は止まらかった。ガスは間に合わなかったけど、電気は間に合ったと思った。それからひと月程はラーメン、うどん、おじやを電子レンジで調理した。

ガスは再開されるのだろうか?と思いながらひと月弱、ゲームしている最中に電気がすべて切れた。スマホを調べた。本日電気が止まるというメールが来ていた。ひと月は待ってくれたのかもしれない。その間にクレジットカードが使えなかった間の未払い分が振り込まれなかったので契約解除となったのだと思う。スマホから当面の食糧としてお菓子を注文した。エアコンも使えなくなって寒い。しかたなく、2年間使っていなかった寝室のベットに横になった。ベットを使っていなかった理由はベットを汚したくなかったから・・・。2、3日でスマホの電池もなくなった。

まず、残った食材(ラーメン、キャベツ、鶏肉等)を食べて処分した。鶏肉は生で食べた。その後は、最後に注文したお菓子(ビスケット、バタピー)だけで凌いだ。飲み物は水に酢と砂糖を溶かしたものを飲んだ(柑橘系ジュースと変わらない味)。飲食、トイレで立ち上がる以外は、ベットに横になっていた。何もすることがない・・・。とにかく、寝たくて目をつぶる。しかし、寝れない。気付いたら独り言を延々と話していた。もしも引きこもらなかったら・・・という世界を妄想して、そこで自分と話し相手を一人二役するのである・・・。その世界では、英語を勉強して海外ホームステイをし、帰国後、自宅で英会話教室を開いていた。ブログを始めていて、それを英会話教室の予約サイトとしても使っていた。また、結婚して子供もいた。

そんな状態が2週間くらい続いただろうか?(その時は電気が止まってから何日経過したのか分からなくなっていた。)妄想もネタが尽きてきた。死を覚悟した。自分の人生を振り返った。そこで、自分が長年患っている体の問題について、長年直そうとする選択肢自体が思い浮かばなかった事に気付いた。衝撃を受けた。そこで、初めて自分が今回の引きこもりを起こすずっと前から(少なくとも高校生の頃には)精神的に異常だったのだと認識した。また、今回の引きこもりの反省から人というものを悟った

生きていても希望がない。死のうと思った。ビニール紐を首に括り付けて引っ張ってみたが、息苦しいだけで死ねない。カーテンレールに括り付けたが、カーテンレールが壊れそうで辞めた。ベットの足に括り付けて寝てる間に首しまって死なないかと思ってやってみたが、息苦しくて寝れない。このままだと、餓死だな・・・。

妄想と首絞めの日々は残りのビスケット1袋となるまで続いた。自分で首を絞める方法では死ねない・・・餓死か・・・。苦しいのはやだな・・・。
K「(このまま死んだら近所に迷惑をかける。)」
何を今更・・・という言い訳をして、遂に家から脱出した。結局は死にたくなかった。それだけだ。当然だ。死にたいから死ぬで死ねたらそこら中自殺のニュースだらけだ。いや、珍しくないからニュースにすらならないだろう。人間は死を回避するように出来ている。

交番に行って引きこもりの話をし、(この時、交番にあった新聞の日付から、電気が止まってから3週間経っていることを知った)自殺を図ったという事で保護された。この時、初めて知ったのだが、警察から解放されるには誰かに迎えに来てもらわないといけないとの事だった。親戚には過去に助けてもらっていたので、今回もという事にはしたくなかったのだが・・・結局、今回も助けてもらった。お風呂に入らせてもらい、床屋に連れて行ってもらった。これで自分一人でも動ける状態になった。

その後、電気・ガスを新たに契約し直し(不払い分を払って)、電気復旧後、ハウスクリーニングしてもらった。(スポーツジムもクレジット払いで不払いになっていたので払いに行ったのと同時に解約した。おそらく、引きこもっていた2年間で20万払ったものと思われる・・・。)

そして、引きこもり中に妄想していたブログを始めた。

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